先日「院内助産」という制度を利用して二人目を出産しました。
「院内助産での出産ってどんなの?」
「助産所や病院での出産と迷っている。」
という方のために私の院内助産での出産体験談をブログに書こうと思います。
【もくじ】
院内助産とは?
「院内助産」という言葉自体を初めて聞く方もいると思うので、病院や助産所と比べながら、ざっくりと院内助産とは何かを説明します。
【病院での出産】
いわゆる一般的な出産。
安全性を大事にした分娩台での出産。
【助産院(助産所)での出産】
助産師さんのみの介助で、医療の介入しない自然なお産ができる。
アットホームな雰囲気で自由なスタイルで出産ができる。
【院内助産】
診療所や病院内の部屋で助産所のような医療の介入しない出産ができる。
出産時に医師は立ち会わずに、助産師のみでの介助。
万が一必要になった時は、医療機器の揃った同じ病院施設内で医師による手術なども受けることができるので、安全性が高いのがメリットです。
病院内で出産することになるので助産所に比べると「病院っぽさ」は強く、助産所の魅力である「畳の部屋での出産」や「自然食」までは望みにくいかもしれません。
早産、逆子、双子以上などリスクの高い人は院内助産の制度は利用できません。
院内助産制度のある病院自体が少なく、また一か月の受け入れ人数枠が決まっていたりして(今回の診療所は月に2名のみ)必ずしも希望通り院内助産で出産できるとは限らないようです。
院内助産で出産することになった場合、「助産師外来」といって助産師さんによる妊婦検診を受けることができます。
助産師外来とは?
院内助産での出産が決まってからは助産師による「助産師外来」の妊婦検診になります。
病院出産希望でも、助産師外来を受けることはできました。
医師による妊婦健診は、エコーは2〜3分程度で、必要事項だけをさっさと問題がないか見るような感じでした。
待合室にたくさん妊婦さんが待っているし、とにかく「手際よく早くしなければ」という気持ちになり、心配事の相談はゆっくりできないような雰囲気でした。
助産師による助産師外来(妊婦検診)は一人30分の枠で予約を事前に予約を取ることができました。
助産師外来で助産師さんが「かわいいね」 とか言いながらエコーを20分以上かけて見せてくださったり、ゆったりと小さな相談事もできました。
病院出産だと、出産当日にお産介助の助産師さんと初めて顔を合わせることが多いと思いますが、助産師外来(妊婦健診)で、担当の助産師さんと事前に会って話せていたので、院内助産のお産当日も安心感がありました。
助産所出産希望から病院出産へ。
私の一人目出産体験
二人目の院内助産体験談の前に、一人目の出産の話を少しだけ。
私は一人目を出産する時は、助産所での出産を希望していました。
助産所では、37週以降の正期産だと産むことができます。
私は切迫早産で入院し、一度退院した後36週で破水し、早産なので助産院では産むことができず、提携している病院で出産しました。
「助産所で産んでみたい」という希望は叶わず、でも病院出産でも私の希望もかなり聞いてもらえ、よくしてもらえたので、終わってみれば大きな不満はなかったです。
私が今回、院内助産に決めた理由
今回も助産所で産んでみたいという気持ちはまだありました。
ですが、 私が今回は高齢出産になることや、他のママ友たちから「陣痛で頑張っていたけど途中で急遽、帝王切開になった」など「出産は何があるかわからない話」を数々聞いていたので、万が一助産所出産の途中に病院に搬送されることになった場合の時間のロスなどを考えると、助産所で産むというのに少し不安も感じていました。
前回、病院出産になったのですが、正直そんなに悪くなかったし、「自然なお産がしたい」 という気持ち以上に「もしもの時のために安全なお産をしたい」 という気持ちの方が今回は強かったのです。
私が今回、院内助産を利用した病院はちょっと遠いけれど通える範囲にあって、二人目以降の出産で院内助産を利用できるし、30代後半の高齢出産でも大丈夫、と条件も合い、
「できるだけ自然なお産がしたいけど、病院の安全性も欲しい」
と思って院内助産を希望しました。
院内助産:出産体験談
前置きが長くなりましたが、ここからが出産当日の体験談です。
朝おしるしがあり、陣痛っぽい痛みが出てきたので病院へ連絡。
夫は会社へ、子供(5才)は幼稚園に既に行っていたので、タクシーを呼んで幼稚園で子供を拾ってそのまま病院へ。
クリニックでは、院内助産出産専用の畳の部屋などはなくて、普通の広めの洋室の個室で出産することになっていました。
普通の寝るベッドとは別に、もう一つ簡易ベッドがあり、基本はそこで出産をするとのこと。
部屋に次々と赤ちゃんのベットや産後に使う用品などが運び込まれてきて、
「数時間後にはもう赤ちゃんが生まれることになっているんだなぁ」
と不思議な気持ちになりました。
子供と二人で個室で過ごしているうちに、陣痛の間隔は短く、痛みも強くなってきました。
院内助産の出産は二人の熟練の助産師さんが介助してくれることになっています。
陣痛の間もほとんどの時間、一人は助産師さんがついてくれていて陣痛のたびに、フーッと一緒に呼吸を言ったり、腰をさすってくれました。
助産師さんの腰さすりで楽になったし、助けてもらえている感がありました。
病院出産だと、自分一人もしくは家族だけで陣痛に耐えなければいけないことも多いと思うので、ずっと助産師さんの助けがあったのは嬉しかったです。
陣痛の波の間には「陣痛、痛いよね〜」と痛みに共感してくれたり、励ましてくれたり、「私の出産の時はね…」といったような話をしてくれて、和やかな雰囲気でした。
部屋にいる5歳の上の子がだんだん飽きてきて(と言ってもまだ到着して2時間くらい)「まだ赤ちゃん産まれないの?」とか何回も聞いてきたりしました。 (子供はせっかち 笑)
そろそろ子供の話し相手をするのもしんどくなってきたあたりで、夫も到着。
陣痛の合間に、今後のスケジュールを話しあったりしていました。(まだ話す余裕あり)
私はベッドに腰掛けて座った状態で、陣痛に耐えていました。
陣痛中はスクワットのような姿勢でいると赤ちゃんが降りてきやすらしく、せっかく院内助産で自由だし、試してみたいと思っていました。
陣痛が弱くて長引くようであれば、スクワットとかも試してみたらよかったのかもしれませんが、私は順調に陣痛が進んできていたのと、「まだ耐えられるし座っているだけでいいや」と思っているうちに「もう耐えられない」の状態になって、陣痛中のスクワットを試す機会もありませんでした。
院内助産での出産は分娩台を使いません。
なのでお産の姿勢は自由です。
私は、膝をついて椅子にもたれかかる姿勢が本に載っていて楽そうだったので、それで産みたいなと思っていました。
お産当日に「出産の姿勢は何でもいいんですよね?」
と助産師さんに確認すると
「自由だけど、介助する方としては仰向けが一番しやすいんだけどね…」とのこと。
途中、何度か分娩監視装置で、心音や間隔を確認しながらも、確認が終わると装置は外してくれました。
できるだけ自由にさせてくれていたんだと思います。
最後、産み終わるまでの分娩監視装置をつけるのは、かなり最後の方からにしてくれました。
私が「仰向けになると痛い。座った姿勢の方が楽だから、座りたい」と言ったのもあって、かなり最終段階に近い時にも(確か9.5 センチと言っていたはず)もう一度座る姿勢にさせてくれました。
(ベッドに腰掛けたままじゃ産めないから)「さぁ、今から座った姿勢から産む姿勢に変えよう」という辺りでもうかなり痛くて、膝をつくとか姿勢を変える余裕がない状態になっていました。
助産師さんが「仰向けに寝ようか」ということで仰向けに。
やっぱり仰向けになると激痛。
分娩台ではなくて普通の平たい簡易ベッドだったのでリクライニング機能はありません。
少し上体を起こした姿勢になりたかったので、助産師さんに夫が呼ばれて私の頭の方に座って支える役割に。
(リクライニング機能搭載!)
後は激痛に耐えて、赤ちゃんが生まれました!
(一番痛い場面は、早送りでふり返ります。笑)
2人以上の出産経験のある友達のほとんどから「二人目は時間が短かった。」と聞いていましたが、まさにその通り。
一人目の時と比べると激痛だった時間は半分。
仰向けの産む姿勢になってから生まれるまでは約30分くらいでした。
逆に言えば、30分前まで自由に座ったりしていられました。
産む瞬間はもちろん痛かったですが、
「あれ、もう産まれたの?もう終わりでいいの?」
という感じでした。
生まれたてほかほかの赤ちゃんを私の胸の上で抱っこ。
「へその緒はせっかくだからお兄ちゃんに切ってもらおうか」ということになり、5歳の上の子にへその緒を切ってもらいました。
(はさみのほとんどが助産師さんが動かして、子供は手を添えている程度だったと思います)
産後すぐしばらくみんなの手がふさがっていたので、横にいた子供に、私の胸の上にいる赤ちゃんの生まれて初めての写真を撮ってもらいました。
私や赤ちゃんの処置を終えて助産師さんが一人減り、また一人減り、個室に家族3人、じゃなくて赤ちゃんも入れた家族4人になりました。
「無事、産まれてよかった。」
「産まれた赤ちゃん、上の子の赤ちゃんの時そっくりやん。」
とか話して写真を撮ったり、夫が抱っこしたりしていました。
産み終わっての感想
陣痛から出産まで同じ部屋だったので、個室で陣痛に耐える時間と、分娩室の分娩台の上で出産する時間の境目がなかったことは、かなり良かったです。移動もなかったし。
また、本当に出産時に産科医の先生が立ち会うことはありませんでした。
男性医師がいると部屋の中がピリッとした雰囲気になっていただろうと思います。
女性の熟練の助産師さん二人と、共感してもらえたり励ましてもらいながら、日常的な和やかな雰囲気の中、出産をすることができました。
院内助産でフリースタイル出産を希望していましたが、実際にもう産める状況になったら姿勢をかえている余裕がなくて、仰向けでの出産でした。
でもだからこそ、助産師さんの技術の恩恵を受けられたと思うことがありました。
それは…
(院内助産は医療行為が出来ないので)
切られることもなく、
(熟練の助産師さんの技術もあって)
裂けることもなく、
よって、縫合手術をする必要もなく、
無傷の状態で出産できたことです。
助産師さんに感謝!
このひとつのためだけにでも院内助産を選択したメリットはあったと思います。
産後のドーナツクッションは不要でした。
痛みに関しては、「二人目の出産だから」という部分が大きく「院内助産だったから」とは言い切れない部分でもありますが、痛かった時間は短かったです。
私は、座っている姿勢なら陣痛は耐えられるけど、仰向けの姿勢を激痛だと感じるので、仰向けの時間が最小限で、痛みに関しても楽だったと思います。
(仰向けは、子宮の重みが背骨側に来てしんどいのと、赤ちゃんが降りてくるのに重力をかりれないので、大変だと私は思ってる。)
今回の院内助産での出産は、日常生活の延長線上にある出産という感じでした。
赤ちゃんが産まれる約40分前、陣痛の合間に交わしていた会話が
上の子「アイス食べていい?」
私「(個室の)冷凍庫に入ってるから、食べていいよ。」
夫「座って食べや。」
助産師さん「今日は特別やな〜。いいなぁ。」
とかだったので、日常感は満載でした。
産婦の精神状態(リラックスしてるかどうか)がお産の進み方に影響する部分って大きいと思うので、分娩台の上で患者らしくしていなければならない緊迫した雰囲気とかじゃなく、日常感があるっていうのはよかったと思います。
院内助産出産 まとめ
助産所のアットホームさや自由さと、病院の安全性のいいとこどりの「院内助産」の制度。
私はありがたいことに大きなトラブルのない安産な出産だったので、病院の安全性の恩恵は大きくは受けていませんが、院内助産出産でも、病院の医療の部分のおかげで一命をとりとめている産婦さんや赤ちゃんもいると思います。
また、もしもの時の「安心感」があるだけでも、精神的な助けになりました。
近年、出産のできる助産所がどんどん減ってきているような印象を受けますが、院内助産の制度のある病院がこれからも増えていってほしいと思います。
助産院での出産は安全性から躊躇していたり、家族から反対されたり、ということであっても「院内助産」であれば安心できるのではないでしょうか。
私は、二人目を院内助産で出産できてよかったと思っています。
何より、どこでどんな風に産んだとしても、赤ちゃんが無事に産まれてきてくれて、本当によかった。私も生きてる!