うちの子、天才かもしれん。

幼児教育・2026年中学受験(受検)・育児日記のブログ。小5と4歳の男の子2人の子育てにまつわることを書いてます。

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本「勇者たちの中学受験」の感想:こわいけど読むべき本

「勇者たちの中学受験 わが子が本気になったとき、私の目が覚めたとき」(おおたとしまさ・著)を読みましたので、そこで印象の深かった文章を交えながら、感想を書きます。

出版当時、めちゃくちゃ話題になってましたね。
「怖いけど読んだ方がいい」という意見を読んだことがあって気になっていました。

私も読み終わって「中学受験をする人であれば必ず読んだ方がいい!」と言えます。

それぞれ別の親子で3つのエピソードが出てくるのですが、特にエピソード2のハヤト編は、衝撃が大きかった…。

今回の登場人物にはきょうだいがいて、きょうだいの受験エピソードのことも書かれているので、多くのパターンの受験をこの本で知ることができます。

この本のすごいところは塾の名前や受験学校名を実名であげているところ。
塾業界の闇ともいえるところも実名をあげて載せているところが著者の問題定義への本気度が伺えます。

以下、ネタバレを含みながらの感想になります。

本:勇者たちの中学受験

塾への罪悪感、ママ友との関係性

開成合格も当然と思われていたハヤトの不合格を確認した時の母親の反応です。

「エピソード2 ハヤト」より引用

塾に対しての申し訳なさがこみ上げてくる。
ハヤトが不合格になった直接の悲しみよりも、塾に対する罪悪感が強くなる。(引用以上)

母親は、自分の子供の成績がトップなことでみんなから羨望や妬みの感情を向けられているのではないかと、状況への居心地の悪さを感じています。

塾の子供同士やそのママ友との関係性など、子供の受験以外にもいろんな要素が絡んでいて、精神的に本当にしんどそうでした。

正直、こんなにめんどくさいなら、塾での人間関係がない状態の方がよっぽど楽そうだと思いました。

ハヤトくんは全国統一小学生テストで決勝出場しタブレットを獲得するような優秀な子で、塾にも特待生の制度で通っていました。

無料で授業をしてもらったりなどある意味、塾に対して「借り」があったからか子供が不合格だった時に申し訳なさの感情が出てきたようです。

特待生は家計の観点から行くとお得だしありがたいのですが、 やはりその分塾としては最難関校合格の実績という「見返り」を期待しているであろうことは大人としては推測できますよね。
こういったことで、より中学受験に関する感情が複雑になってきてしまうのだと思います。

「ついでなのではっきり言っておく。通う気もないのに「最難関校合格」の称号を得るために行われる、俗による「トロフィー受験」は中学受験の恥部である。」 とおおた氏は言い切っています。

今回のハヤト自身はどれくらい灘受験を希望していたのかはわかりません。
でも、状況的に受けざるを得ない状況であったことは推測できるし、通学圏外である灘の受験ツアーは塾の合格実績のために子供が利用されている、とも言える状況なわけで、複雑な心境になります。
実際に、この灘不合格を皮切りに、ハヤトの受験はどんどんと悪い方向に向かって行きます。

塾講師から受験前日に罵倒されて三年を無駄にする

母親は、中学生になったハヤトから、受験前日に塾講師にされた行為を聞かされます。
「エピソード2 ハヤト」より引用

「もう受験はしたくない。あの先生のせいで、三年間を無駄にした…」
「一月三十一日の授業のあと、あのひとに徹底的に罵倒された…」
「お前はエースになれなかった、 だからお前はだめなんだって、 何度も何度も言われた。
灘に落ちたことよりも、パパが引きこもっちゃったことよりも、あれが一番きつかったよ。
気持ちが切り替えられなくて、あの日は眠れなかった。
そのままの精神状態で二月一日を迎えなければならなかった。あの先生だけはもう顔も見たくない。」(引用以上)

もう、塾講師のせいで二月一日をめちゃくちゃにされてしまったと言ってもいいような状態です。

ですが、これは今回のハヤトのケースがすごく特殊なケースというわけではないようです。

最近読んだ記事にも載っていたのですが、 塾講師が子供に暴言を吐くようなことは割と塾業界でよくあることのようです。

FRaU edu 「中学受験のバトン」塾講師のパワハラに関する記事をまだ読んでいない方は、こちらも一読されるのをおすすめします。
(ただ、内容が結構きついので、心の準備の整った方のみ、お進みください…)

▶︎中学受験塾アンケートで分かった「講師からハラスメント」深刻な現実 | FRaU edu

アンケートにはかなりの数の実例が載っていて、 しかも実際に自分の子供がされているのを知った場合も親がそのまま受け入れているケースも多いように見受けられます。

今回のエピソードのハヤトの親も、後から塾にその件についてクレームをつけるようなことは書かれていませんでした。

暴言も叱咤激励ってことで、受け入れざるを得ない雰囲気がきっとあるのでしょう。
う〜ん、そこも含めてこわいですね。

進学期待に関するジェンダー・バイアス問題

おおたとしまさ氏による「解説」より引用

一方で、コズエの両親が中学受験に熱くなりすぎなかったのは、コズエが女の子だったからではないかという指摘があるかもしれない。
アユタの妹は、中学受験をするかどうかまだわからない。
ハヤトの妹は中学受験をしないと決めた。
進学期待に関するジェンダー・バイアスの問題がこの3つのエピソードに共通して横たわっている可能性は否定できない。(引用以上)

3つのエピソードを全て紹介し終わった後のおおた氏による指摘。
「今回の3つのエピソードはたまたま」と否定することもできるのだろうけど、私もこの文章にはうなずいてしまいました。

「兄は中学受験をしたけど、妹は、コミュニケーション能力も高いし内申を取るのも大丈夫そうだから公立高校の受験にする。」というようなエピソードは、今までネット上でも実生活でも見聞きしたことがあります。

実感として、女の子に対してのこのバージョンが多い。

ただ私と同世代で中学受験をするなどと意識も高い人たちの間で
「女に学歴は必要ない。」
「うちは息子にはいい大学に行かせる予定だけど、娘には公立高校までにしてもらう予定。」
などと堂々と言うような人たちはほとんどいない。

あくまでも「コミュニケーション能力も高いし内申を取るのも大丈夫そうだから」とか「本人が中学受験を嫌がったから」というような「子供それぞれの個性や意見を尊重した結果」としてそういう選択をしていることが多い。

私は、私たち親世代の中に、私も含めジェンダー・バイアスはまだまだ奥深くに存在すると思っている。
なので、進学やその他大きな選択をするとき「この子がもし男の子(女の子)だったとしても、同じ選択をするのか?」「その選択に、ジェンダー・バイアスはかかっていないか?」というような問いかけは自らにしていきたいと思う。

本を読んで改めて思ったこと

中学受験をするために中学受験塾に通うというのは王道ですし、実際にほとんどの子供が塾通いを経て中学受験に挑んでいると思います。

しかし、特にエピソード2のハヤトの話などを読んでいると、もともと勉強が好きで得意だった子が中学受験塾によって精神的に追い詰められている状況も発生しているようです。

うちは、現在、家庭学習のみで中学受験勉強中です。
学年が上がれば上がるほど、塾の必要性は増す気はしていますが、この本を読んで、今の塾なしで勉強している状態の楽さが身に染みました。
勉強の進捗管理だとかは必要だけど、人間関係がどうとか、塾のための合格のプレッシャーだとか、塾講師からのハラスメントの心配とかそういうことは考えなくていいので。
(塾に通ったからといって、そういうストレスが必ずかかるわけでもないですが)

塾に行けば仲間と切磋琢磨して、もっとやる気も出て、成績も上がって…と期待しがちですが、逆に、精神的に追い詰められて成績が下がる、受験当日のコンディションを邪魔されるくらいのこともあり得るのだ、ということも考慮して、天秤にかけよう、と思いました。

私は今まで、本「翼の翼」は中学受験をする家庭の必読書だと言っていましたが、この「勇者たちの中学受験」もセットで読むことを強くおすすめします。

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